行政書士試験の記述式問題は、受験者の法律知識や論理的思考力、文章力を総合的に評価する重要なセクションです。
その採点は、公平性を確保するために、詳細な採点基準と採点ガイドラインに基づいて行われます。
採点では、設問の趣旨に正確に答えているかが最も重視され、論理的な一貫性や適切な表現も重要なポイントです。
一方で、誤字脱字、論点のズレ、条文番号の誤記などがあると減点対象となる場合があります。
特に、設問が求める論点を外している場合は、大幅な減点が避けられません。
受験者は、出題者の意図を正確に把握し、簡潔かつ論理的に回答する必要があります。
このような採点基準を理解し、答案作成に反映させることが、記述式問題で高得点を得るための鍵となります。
行政書士試験の記述問題における採点の重要性
行政書士試験の記述問題における採点の重要性についてみていきましょう。
記述問題の採点基準とは?
行政書士試験の記述式問題の採点基準は、公平性と客観性を保つために詳細に設定されています。
以下のポイントが採点の主な基準となります。
1. 設問の趣旨に合った解答
設問が求める法律知識や論点に沿った回答が最も重要です。
解答が趣旨を外れている場合、大幅な減点または無得点になることがあります。
例えば、民法の問題で「売買契約の成立条件」を問われた場合、条件を的確に記述する必要があります。
2. 論理性と構成力
論理的に一貫した内容で、読み手に分かりやすい構成で書かれているかが評価されます。
適切な段落構成や接続詞の使用もポイントです。
3. 知識の正確性
法令や条文番号の記述が問われる場合、正確に記載することが求められます。
条文番号が間違っている、または重要な用語が抜けている場合は減点対象です。
答案には「過不足なく」記載することが求められます。
時間配分や設問の条件を注意深く読み全てを網羅するようにしましょう。
試験委員は、あらかじめ設定された採点基準に基づき、記述式問題を一律に採点します。
部分点が与えられる場合もありますが、配点に占める重要部分(例えば20点満点の設問で主要論点が15点)をしっかり押さえる必要があります。
結論として、正確な知識、論理的な構成、そして簡潔な表現を意識して解答を作成することが、記述式問題で高得点を得る鍵となります。
問題の配点と減点のルール
行政書士試験の記述式問題では、採点基準に基づき減点が行われるポイントが明確に設定されています。
以下に主な減点対象となるポイントを詳しく解説します。
設問の趣旨からの逸脱
設問が求める内容に答えていない場合、大幅な減点や無得点となる可能性があります。
特に、論点がズレていたり、余計な事項を含めたりするのは危険です。
知識の誤り
- 条文番号の誤記
条文番号を記述する場合、誤った番号を書くと減点されます。条文番号が必須でない場合は省略しても減点になりませんが、誤記すると失点につながります。 - 法律用語の誤用
正確な用語を使用しないと、論理の正確性が欠けるとみなされ減点対象になります。
論理展開性の欠如
- 答案の内容が論理的でない場合や、一貫性が欠けている場合は減点されます。
- 主張と理由付けが曖昧だったり、矛盾している記述があると得点が大きく下がることがあります。
誤字・脱字
- 誤字や脱字が多いと、内容の信頼性や文章力が欠けていると判断され減点の対象になります。
- 特に法律用語や条文名の誤字は致命的です。
冗長または過不足な記述
- 必要以上に冗長な説明をすると、要点が不明確になり減点されることがあります。
- 逆に、重要な要素が不足している場合も、解答が不完全とみなされ減点されます。
このように答案を作成する際には、設問の意図を的確に理解し、簡潔かつ正確に記述することが重要です。
自己採点の方法とその重要性
行政書士試験の合格点は毎年180点満点中60%(108点)です。
ただし、選択式の基準点を満たさない場合は不合格となるため、全体点数だけでなく各分野の点数も確認することが重要です。
記憶の新しいうちに自分が合否どのラインにいるのかを知ることです。
次のステップをあらかじめ考えるためにも、しっかりと現実を見ることをおすすめします。
行政書士試験の自己採点は、合否を確認するだけでなく、今後の方向性を決定づける重要なプロセスです。
試験内容の復習を兼ねて正確に自己採点を行い、結果に応じた次の行動を早めに計画しましょう。
合格ラインに達していれば手続きを進め、不合格であれば課題を明確化して次回に備えることが鍵となります。
自己採点に役立つツールとサービス
大手予備校などでは、その日のうちに回答速報を出しているところがあります。
実際に私も予備校のサイトを見ながら、自己採点をおこないました。
解答速報の提供や記述式の添削、点数管理のサポートなど、多岐にわたる機能を提供しています。
予備校の解答速報やオンライン採点ツール、添削サービスを組み合わせることで、記述式問題を含めた総合的な自己採点が実現します。
これにより、合否の目安を早めに把握し、次のステップへと効率よく進むことができます。
記述問題に特化した勉強方法・テクニック
短文解答で法律知識や論理的思考力を正確に表現するスキルを磨くことが重要です。
以下に、効率的かつ実践的な勉強法を具体的に説明します。
過去問の徹底的な分析
1. 過去問の徹底的な分析
記述式問題は、過去問の傾向を把握することで出題されやすい論点や解答のスタイルを理解できます。
- 頻出分野を確認
民法(債権や契約)、行政法(行政不服審査法や行政手続法)などが中心です。
特に重要な条文や判例を重点的に学びましょう。
- 模範解答と比較
過去問を解いた後、模範解答と比較して、自分の記述が趣旨に沿っているかを確認します。
2. 条文・判例の暗記と活用
記述式問題では、法律の条文や判例を引用して論理的な解答を作成する必要があります。
条文や判例の正確な知識が基盤となります。
- 頻出条文を覚える
民法や行政法の重要な条文(特に具体的な規定)を、条文番号とともに暗記します。 - 判例の要点を押さえる
試験でよく出る判例(債務不履行、行政処分の取消要件など)の結論と論理を短文で記述できるようにします。
3. 記述練習を繰り返す
記述式は文章力が求められるため、書く練習をしなければ本番で力を発揮できません。
- 1日1問練習する
過去問や予備校の記述式問題集を使い、毎日1問を解きます。特に制限時間内で解く練習を重視します。 - 添削を受ける
予備校や添削サービスを利用し、自分の記述が採点基準に合致しているかを客観的に確認します。 - 簡潔に書く練習
長文になりすぎないよう、80~120文字程度に収める練習をします。
4. 論点整理ノートを作る
記述式問題では、設問ごとに求められる論点を正確に把握することが鍵です。
論点を整理することで、即座に解答に必要な知識を引き出せます。
- 重要論点を分類する
民法、行政法ごとに論点を整理し、問題で使える条文や判例をまとめます。 - フレーズをテンプレート化する
記述に頻出する表現や条文の引用をテンプレート化し、使い回せるようにします。
5. 出題者の意図を読む練習
記述式問題では、設問の趣旨を正確に読み取ることが大切です。
趣旨に合わない解答は大幅に減点されます。
- 設問を分解して考える
「何を問われているのか」「どの法律や条文が関係するのか」を明確化します。 - 模範解答の解説を読む
模範解答に至る論理や構成を分析し、出題者が求めている解答のポイントを理解します。
6. 法律用語の正確な表現を学ぶ
法律文書には特有の表現があります。
これを正確に使えないと、解答の説得力が低下し減点につながります。
- 法律用語辞典を活用する
曖昧な言葉や独自の言い回しを避けるため、正確な表現を身に付けます。 - 模範解答を暗記する
過去問や予備校の模範解答を丸暗記して、表現の参考にします。
7. 時間配分の練習
なぜ重要か
本番では3問の記述式問題を限られた時間で解く必要があります。
時間配分を誤ると、全問を書き終えることができません。
- 模擬試験形式で練習
本試験と同じ環境で記述式問題を解き、1問あたりの目安時間(20~25分)を守る練習を行います。 - 簡潔さを意識する
解答に盛り込むべきポイントを厳選し、無駄な説明を省きます。
8. 記述式問題集や講座を活用する
- LEC『行政書士 記述式問題集』
頻出論点を押さえた記述式問題集。 - 伊藤塾の記述式対策講座
添削指導付きで実践力を磨ける講座。 - TACの模試・問題演習講座
記述式を含めた総合演習が可能。
行政書士試験の記述式問題では、法律知識を正確に表現する力、出題者の意図を汲み取る力、そして論理的かつ簡潔に書く力が必要です。
過去問の活用、記述練習、論点整理、そして添削指導を組み合わせて学習することで、これらの力を効率的に身に付けることができます。
日々の練習を積み重ね、記述式問題に特化した準備を万全に整えましょう。
試験時間内に解答するための時間管理
試験は合計3時間(180分)で、全60問のマークシート問題と3問の記述式問題を解く必要があります。
制限時間内に全問に取り組むためには、計画的な時間管理が重要です。
以下に、具体的な時間配分の目安と効果的な時間管理法を解説します。
時間配分の目安を決める
行政書士試験の出題構成と配点を考慮し、各セクションに適切な時間を割り振りましょう。
法令等(択一式):100~110分
一般知識等(択一式):30~40分
記述式:30~40分
優先順位を明確にする
試験中に迷って時間を浪費しないよう、解答の順序を決めておきます。
解答順のおすすめ
①法令等の択一式(最初に解く)
配点が高く、基準点(122点)を超えるための重要部分です。
分からない問題があっても時間をかけすぎず、先に進みましょう。
②一般知識等(次に解く)
14問中6問(24点以上)の基準点をクリアする必要があります。
短い時間で確実に答えられる問題を優先します。
③記述式(最後に解く)
記述式は部分点が得られる可能性があるため、時間内に主要な論点だけでも書けるようにしましょう。
そして、最も重要なことは、試験終了15分前を見直し時間として確保するのが理想です。
記述式の誤字脱字やマークミスを防ぐための時間に充てます。
時間管理のポイント
①1問あたりの時間を意識する
択一式問題:1問2~3分が目安です。迷った場合は印を付けて後で見直すようにしましょう。
記述式問題:1問に10~15分を割り振ります。焦らず、論点を正確に書き出すことを意識してください。
②見直し時間を確保する
試験終了15分前を見直し時間として確保するのが理想です。記述式の誤字脱字やマークミスを防ぐための時間に充てます。
見直し時間を確保するためには
①問題文を読むスピードを上げる
長文問題は、設問の最後の部分(「何を問われているか」)を先に読みます。
その後、必要な部分だけを重点的に確認することで時間を節約できます。
②捨てる問題を見極める
解ける問題と解けない問題を素早く判断することが大切です。難問や迷う問題は深追いせず、後回しにしましょう。
③記述式は部分点を狙う
・完全な解答を目指さず、主要な論点だけでも書き切ることを優先します。
・条文番号が思い出せない場合でも、論理的な記述を心掛けて得点を狙いましょう。
模試や過去問で時間配分を練習する
模試を利用した時間管理の練習を受け、際の試験と同じ時間配分で過去問や模試を解き、時間内に全問に取り組む練習を行います。
とにかく受験生は時間との勝負で、刻々と迫るタイムオーバーにひやひやしてしまいます。
普段なら難なくクリアできる問題でも、焦りでアタフタとケアレスミスも頻発し、それが合否を分ける結果となれば悔やみ入れませんよね。
試験前に模試や過去問で時間配分の練習を繰り返し、本番では冷静に自分のペースを守りながら解答を進めましょう。
これにより、効率的に全問に取り組み、合格ラインを超える得点を確保することが可能になります。
記述問題を克服した受験生の声
記述式問題を克服した受験生の声は、多くの人にとって有益なヒントになります。
以下に、実際の体験談を参考にしながら、成功した受験生の声をいくつか紹介します。
毎日1問を解いて文章力を鍛えた
「最初は記述式が苦手で、何を書けばいいのかさえ分からない状態でした。
でも、過去問と模範解答を徹底的に分析し、毎日1問ずつ記述式問題を解くようにしたんです。
模範解答を真似て文章を書く練習を続けた結果、本番でもしっかり回答でき、自己採点でも高得点でした!」
(30代女性・会社員)
条文と判例をテンプレート化して覚えた
「記述式は条文や判例の知識が命だと思い、頻出条文や重要判例を『使える形』にまとめたノートを作りました。
そのノートを使って、自分なりに短い文章で答えられるよう繰り返し練習したんです。
試験中も迷わず論点を書けたので、自信を持って答案を仕上げられました。」
(20代男性・学生)
添削サービスで自分の弱点を克服した
「記述式は自己採点が難しいので、予備校の添削サービスをフル活用しました。
毎回の添削で、『ここが不十分』とか『もっと具体的に書くべき』という指摘を受け、少しずつ修正しました。
本番では、部分点が取れるポイントを押さえた答案が書けたと思います。」
(40代男性・主婦からのキャリアチェンジ)
時間配分を意識して本番形式で練習
「模試や過去問を解くときに、実際の試験時間に合わせて解答する練習を繰り返しました。
記述式問題は1問10~15分を目安にして、時間内で解答をまとめる訓練をしたんです。
おかげで、本番でも焦らずに最後まで書き切ることができました。」
(20代女性・ネイリスト)
模範解答を徹底的に暗記して応用した
「予備校の模範解答を丸暗記するつもりで何度も繰り返し読みました。
ただし、それをそのまま使うのではなく、異なる問題でも応用できるように工夫して答えを書けるようにしました。
結果的に、どんな問題が出ても軸をぶらさずに書ける力が身についたと思います。」
(30代男性・会社員)
記述式問題は部分点狙いで攻略
「完璧な解答を書こうとすると時間が足りなくなるので、まずは論点をしっかり押さえ、重要なキーワードや条文だけは確実に書くようにしました。
部分点が狙える構成を意識したのが良かったのか、自己採点では記述式で高得点を取れていました!」
(40代女性・主婦)
など、皆さんそれなりに記述には日ごろから時間をかけて戦略的に挑んでいることが分かりました。
記述式問題を克服した受験生たちは、過去問の活用、模範解答の分析、条文や判例の暗記、そして添削指導や反復練習を行うことで実力をつけています。
また、本番での時間配分を意識し、部分点を狙う柔軟な戦略も成功の鍵となっています。
これらの実例を参考に、継続的な努力と適切な対策で記述式問題の克服を目指しましょう!
他の受験生との情報交換の重要性
行政書士試験において、他の受験生と情報を交換することは、独学だけでは得られない有益な情報や刺激を得るために非常に重要です。
勉強の効率を高め、モチベーションを維持するためにも、情報交換を積極的に活用しましょう。
メリット
- 学習方法や教材の共有
- 記述式問題の添削や意見交換
- 試験情報の収集
- モチベーション維持
などで、同じ受験生と意見や情報交換をするとモチベーションが高まり、学習への意欲がわいてきます。
一人で黙々と年に一度の試験日に備えているだけでは、不安やストレスも出てきますが、そういったマイナス面をうまくリセットできるでしょう。
一方で、仲間とかたまりすぎるとデメリットにもなりえるので注意が必要です。
デメリット
- 偏った情報
- 比較しすぎる
他の受験生の情報を鵜呑みにすると、自分に合わない方法に惑わされる可能性がありますので、情報の取捨選択が必要です。
他にもメンタル目では他の受験生と自分を比較して落ち込むのではなく、自分のペースを守ることも時には重要になってきます。。
うまく仲間と付き合いながらお互いに合格を目指していきましょう。
最終ゴールは合格です!
まとめ
行政書士試験の記述式問題は、設問の趣旨に正確に答え、法律知識や論理的な文章力を示すことが求められます。
採点は公平性を保つため、明確な基準に基づいて行われますが、誤字脱字や趣旨の逸脱、条文番号の誤記などは減点対象となります。
特に、論点がズレたり、必要な要素が欠けていたりすると大幅な減点が避けられません。
一方で、部分点が与えられることも多いため、主要な論点を押さえた答案作成が鍵となります。
正確な採点基準を理解し、適切な対策を講じることで、記述式問題の得点力を高めることが可能です。
そして、最期にご紹介したように、年に一度の試験なのでそれまでモチベーションを保つことも合格への布石です。
うまく仲間を見つけ適切な距離感や関わり方で、お互い来年の試験に合格できるよう切磋琢磨してみましょう。